主観的データと体験検索でユーザーレビューから真の価値を引き出す Part 1

カスタマーレビューは今や世界のビジネスを動かす原動力となり、 販売、採用、ホテル運営などの活動において、レビューにおける評価はビジネスの成否を分ける存在です。 その運命を決定づけるのはレビューの質だけではなく、商品やサービスを通して提供される顧客体験が利用者の期待値とどの程度調和しているか、これが非常に重要です。 2つの要因 < 期待と実体験 > の不一致は、 ビジネスに惨憺たる結果を引き起こす可能性があることは言うには及びません。 

残念なことに、現状では簡単に実現できる打開策は見当たりません。今日のレビュープラットフォームやオンラインショッピングにおける検索エンジンは客観的な特性による検索しかサポートしていません。例えば、レストラン検索において、「価格」 「ロケーション」「料理のジャンル」などの情報を見つけることができます。しかし、仮にあたながどんな食事が体験できるかを確認したい場合、 「活気に満ちた雰囲気」 や 「ロマンチックな夕日の眺めを楽しめるかどうか」といったことが検索結果から分かるでしょうか?それほど簡単なことではありません。カスタマーレビューを読むことは単調で時間のかかる作業で、報われる保証がないにも関わらず、数十ものレビューを読まなければ、おそらくそこまでの情報は得られないでしょう。

ユニークなニーズや非常に具体的なニーズを満たすサービスや製品を見つけることを難しくすべきではありません。この問題を解決するために、Megagon Labsは人々の経験に基づく検索を介して利用者の疑問を解決する主観的なデータシステム、OpineDBを開発しました。

本シリーズの第1回目は、主観的データと体験情報検索がユーザーレビューからより多くの価値を引き出す方法についてお話しします。このブログでは、誰もが体感したことのある ”客観的特性のみを使用した検索における検索結果の問題” について検証していきます。また、人々の経験に基づく検索の需要と、これまで経験的検索が行われてこなかった理由についても触れていきます。では、始めましょう!

期待値と体験をすり合わせる必要性

あなたは長旅の後、ようやくホテルに到着したとします。このホテルはYelpで4.5を受けていたので、早く客室を見てみたいと楽しみにしています。しかし、ホテルの部屋に足を踏み入れると、少し薄暗いと感じます。さらに壁越しに聞こえる雑音も気になります。これは一体どういうことなのでしょうか?事前に確認したホテルレビュー上位10件では、こうした問題に触れられたレビューはありませんでした。

あなたは混乱し、他の誰かが同じ体験をしたことがあるのかを確認するため、Yelpにログインします。驚いたことに、他のレビューに紛れて、12ページ目の一部のレビューに部屋の汚さと近隣の騒々しい飲み屋について書いてありました。あともう数時間時間をかけてこれらのレビューまで読み切っていたならば、この悲劇は完全に回避できたはずです。

このようなズレは残念ながら頻繁に起こりうることです。そして前述の通り、この問題に対処することはそれほど簡単ではありません。一体どんな人が12ページものユーザーレビューを読む時間があるのでしょうか。自分が満足できる体験を得られるかどうかを確認するために、ユーザーはすべての製品やサービスに対して毎回大量のレビューを熟読しなければならないのでしょうか?客観的な属性を含むクエリのみをサポートしている現在の検索エンジンとそのデータベースシステムには、多くの検討と改善の余地が残されています。

主観的データと体験検索の事例

世界は主観的な特質に溢れており、ユーザーはこれらを適用して自分が望む具体的な体験に繋げたいはずであると、私たちは考えています。ユーザーがある特定のエンティティ(検索対象)の検索時に考慮する基準を特定するため、Amazonのクラウドソーシングサービスであるメカニカルターク (Mechanical Turk)を使用した研究を行いました。

この研究では其々の協力者に「ホテルを決めるときに、コスト以外で最も重視する基準を7つ挙げてください」などの質問をしました。さまざまな領域に対する多数の回答を収集した後、各基準が主観的であるか、それとも客観的であるかを評価しました。たとえば、ホテルの検索条件としてWi-Fiが頻繁に挙げられますが、これを主観的(高速で信頼できるWi-Fiがありますか?)ではなく、客観的(Wi-Fiはありますか?)であると解釈しました。

この実験の結果は驚くべきものでした。約70%の協力者が主観的な検索クエリを使用していたのです。この比率は、参加者が職業、大学、レストラン、旅行に関する検索をしたケースにも当てはまりました。

それにもかかわらず、ほとんどすべての経験的かつ技術的な主観的なデータはYelpやGlassdoorで見られるような ”積み上げられた顧客意見” という影の薄い存在となっています。このような状況の下で、ユーザーは時間を費やし、山ほどあるレビューの中から必要な情報を見つけるしかありません。しかし、本来はこうあるべきではないはずです。何故このようになってしまったのでしょうか?

なぜこれまで体験検索が行われてこなかったのか?

体験情報検索をオンラインプラットフォームに組み込むことで、あらゆる業界がメリットを受ける可能性があります。しかし、この種の検索の実現にはいくつかの大きなハードルがあります。

まず、ユーザーレビューは、効率的かつ効果的に検索ができるように集約する必要があります。2点目は、体験型検索エンジンはその複雑さに関わらず、体系的に検索要求(クエリ)に応えることができなければなりません。3点目は、非常に重要なことですが、対象エンジンは主観的なデータベーススキーマに上手く収まらない表現の場合でも、巧みに処理できなければなりません。これらの問題其々が途方もなく大きな障壁となっていきますが、そのうちの1つだけでも解決できれば、体験型検索の進展に大きく近づくと私たちは考えています。

OpineDBは主観的データをモデル化し、ユーザー自身が使う自然な言い回しでクエリを処理することにより、前述のすべての課題に対処します。そうすることで、主観的データシステムはユーザが個人的な好みで検索できる新しいアプリケーションを実現し、ユーザーが求めている経験に基づく主観情報を正確に見つけることができるようになります。OpineDBを使用すると、「購入を検討している車の座席が快適かどうか」「次のホテルのWi-Fiが非常に遅いかどうか」など、微妙でありながら重要な要素について、今までにない洞察を得ることができるでしょう。

次回は、OpineDBが体験型検索における3つの最大の課題をシームレスに解決する方法を解説します。また、Booking.comやYelpからの実際の主観的データを使用した実験を通して、OpineDBと情報検索型サーチエンジンや属性ベースのクエリエンジンを比較します。どうぞご期待ください!

原文へ

 

 (筆者: Yuliang Li / 翻訳:Megagon Labs Tokyo

 Tag: Subjective Data, Experiential Search

References
Yuliang Li, Aaron Feng, Jinfeng Li, Saran Mumick, Alon Halevy, Vivian Li, Wang-Chiew Tan, “Subjective databases,” In Proceedings of the VLDB Endowment, July 2019.

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